こんにちは。
神奈川県湘南エリアに4医院を展開するゆめの森歯科の理事長、宮前です。
歯科医師になって20年以上が経ちますが、今もなお鮮明に心に残っている、ある患者様からいただいた言葉があります。
それは、私がまだ駆け出しで、歯科医師2〜3年目に亀田総合病院で勤務していた頃の出来事です。
入れ歯が合わず、毎日がつらいと訴えていた患者様
その患者様は高齢の女性で、こう切実に訴えて来院されました。
「入れ歯がまったく合わず、食事もできない。肩こりもひどくて、毎日がつらい」
地域の歯科医院で診てもらっても改善が難しく、最後の望みをかけて「もう一度、入れ歯を一から作り直したい」と総合病院を訪れたのです。
当時の私は歯科医師になってまだ2〜3年目。
技術も経験も未熟でしたが、目の前の患者様のために全力で向き合い、新しい入れ歯を一から作り直す決意をしました。
今も忘れられない患者様からの言葉
何度も調整を重ね、ようやく完成した入れ歯を装着したときのことです。
その患者様は笑顔になり、私にこうおっしゃいました。
「先生は命の恩人です。先生のサインをください。」
そう言って差し出されたのは、ペンとお財布から取り出した一枚の小さな紙切れでした。
「大事に財布の中にしまって、肌身離さず入れて持ち歩くわ」と言って微笑んだその光景は、今も私の心に強く刻まれています。
患者様の生活を少しでも良くできる存在でありたい
振り返れば、当時の私はまだ未熟で、決して完璧な入れ歯を作れたわけではありません。
それでも、その患者様にとって「食べられるようになった」という変化が、日常を取り戻す大きな一歩となったのです。
あの時いただいた「命の恩人」という言葉は、私に大きな勇気を与えてくれました。
医療現場では、時に厳しいご指摘やお叱りをいただくこともあります。しかし、その一言が今も私を支え、初心を忘れず診療に臨む原点となっています。
そして、患者様から直接いただいた感謝の言葉は、まさに医療者として最高の喜びを感じられる瞬間であり、「この仕事に携われて本当に良かった」と改めて実感させてもらえる出来事でもありました。
目の前の患者さんのために
歯科医師になって20年以上が経った今でも、あの経験を忘れることはありません。
「とにかく目の前の患者さんの力になれるように」
この気持ちを胸に、これからも知識と技術を磨き続け、患者様一人ひとりに寄り添う診療を大切にしていきます。